浴室には魔法がございます。
お嬢様のお顔色を可憐に彩る石鹸が。
花嫁の肌を白く輝かせる入浴剤が。
奥様の髪を、旦那様に誰より愛させる洗髪剤が。
そう、今日もあらゆる貴婦人の美しさは、バスタブで育まれることでしょう。
「Mermaid for Milady」は、某公爵家夫人・リーエンリッテと、その人魚姫である魔法使いによる、バスアイテムブランドです。
贅沢な素材をふんだんに使い、猫足のバスタブに住まう人魚姫の魔法をひとかけら加えて――あらゆるレディたちのもとへ、美しさをお届けいたします。
「アイネクライネレースライン」
これほどに贅沢な戴冠はないでしょう。その名前のとおり、小さな薔薇のつぼみの数々を使って作られた洗髪料。かつてのロデリンダ当主時代には、マイヤーハイム家門外不出であったレシピを譲り受け、人魚姫の魔法で改良を重ねました。そして今、皆様のお手元へ。きっと姫君たちの長い髪へと、騎士を魅了してやまない、つやのある環を授けてくれるでしょう。咲き初める、Eine kleine Röslein(ある小さな野薔薇)の花冠のまばゆさ、そしてかぐわしさを、どうかあなたの頭上にも。
「夜明けの輝石」
南の果てから取り寄せた、夜明けの海だけでとれる塩を、最高に贅沢なスクラブに。諸島王国リトカリタが誇る、リシア輝石にも似たうつくしい紫の輝きで、あなたの肌を磨いてみてください。――もしも、はやくに目が覚めてしまった朝に。夜明けとともに、このリトカリタ海塩で全身を磨き、バスタブの少し冷めたお湯に深く沈んで、その暁には……夜明けの水の底から生まれ変わるあなたは、まるで輝石のような輝く肌を手に入れられるはずです。
「石鹸ふた組セット 泡沫/片恋」
かつて、夏を奪われた王国があったこと、皆様の記憶にも新しかろうと思います。この、まるで真珠のようにたおやかな艶と、花の形を持った石鹸は、徐々に復興を果たしつつある、かの王国にて作られました。空に花咲くかやぶきの屋根のうつくしいかの国の村々で、ひとつひとつ丁寧に作られた石鹸は、きっとあなたが抱える憂いや不安を、綺麗に洗い流してくれるはず。――それもそのはず、石鹸造りに使われているのは、巡り廻っては大地にみのりをもたらすという、雨の天秤を統べた、女主人の住まう湖の水だそう。故郷の復興を目指す人々の、こだわりは細部にまで。
※この商品は、売上げの1割が冬厄復興支援に使われます。
「花涙」
カモミールから丹念に蒸留したあまやかなかぐわしさを、あなたのバスタブにそそいでみてください。銀杖王が擁する旧女王領にて咲き誇る花々の香りと安らぎが、浴室を満たし、そして心をも満たしてくれるでしょう。――かの土地においてカモミールとは、涙から咲き誇る花のひとひらの代名詞なのだそうです。であればきっと、あなたの涙も明日は花咲けるほどに。
「ミモリ・パフューム」
はるかにはるかに遠い、それこそ世界の果てのような異国の島国には、一部地域に伝わるミモリコウ……「水守香」と呼ばれるしなやかな香りがございます。なんでも、鹿の角に花がほころぶかのように、聖なる古井戸の水の湧き流れるかのように――と、かの国では評されるかぐわしさなのだとか。その形容を、文化の違うわたくしたちが理解することは難しいですが……ですが、この香りのすばらしさは皆様にも理解して頂けるでしょう。たまには、香りのよい木で造られたバスタブに浸かって、静かに本を読んで過ごしてみて。そして満足してお湯からあがったあなたは、白くてつややかで、花の紋様が織り込まれた、まるで花嫁装束のようなガウンを羽織るよりも前に、この、西と東の境を飛び越えたかぐわしい香水を身に纏う――そんな瞬間こそを、きっと幸いに思ってしまうはずです。
〒404-not found
A place not here
Somewhere far town
Or a country that does not exist
carrier pigeon
お取り扱いございません。御用向きの際は公爵家私有の上記地所まで使者をお立て願います。
営業時間
午後のお茶の時間から夕陽が沈みきるまで(日曜定休)
※人魚姫のご機嫌と、公爵夫人の公務の都合により休業する場合がございます
公爵夫人と人魚姫な魔法使いが、公爵の手引きと義妹嬢の協賛で取り組んだ、バスアイテムブランドは、お気に召して頂けましたでしょうか。
「リルの記憶」ゆかりの品も多く取りそろえていただきましたが……もし通常のページをお望みでしたら、こちらから移動願います。
明日には聖堂の手の物が、人魚を狩り出しに繰るとの噂。その先の運命ははてさて……といった四月一日ではございますが、一日限りの開店に、おつきあいくださりありがとうございました!